◆   カートをみる ご利用案内 お問い合せ/メール サイトマップ   ◆ 
RSS
クローバーのライン
2010egao01x640x200.gif2010egao03x640x200.gif

★私が"なぜ"これほどまでに情熱を持ってランドセルを販売しているのか?店長が熱く語るページ。

私が"なぜ"これほどまでに情熱を持ってランドセルを販売しているのか?

店長が熱く語るページです。

前半部分は、「日本一情熱のあるランドセル屋さん」になるまでの経緯です。
本当に伝えたいメッセージは【 5 】以降にあります。
時間のない方は、【 5 】まで読み飛ばしていただいても大体の内容はわかります。
時間のある方は、ぜひ全文をおよみくださいね。


個性派名刺ネットイラスト1.jpg


【 1 】はじめに

■私は文具屋さんです。

私の父が創業してから50年以上が過ぎました。
文具屋さんなので、ランドセルの通信販売をしています。
そこには、特別な違和感はないと思います。

 ただ、ちょっと変わったお店です。
『日本一情熱のあるランドセル屋さん』
屋号からしてちょっと怪しげですよね。

このような他のお店とは違う販売方法に取り組むようになったのには、
それなりの理由があります。

私のランドセルに対する想いを、
時間の経緯と共にお伝えします。


【 2 】「日本一情熱のあるランドセル屋さん」が生まれるまで

■私は生まれた実家が文房具屋さんでした。
昔から、どこの小学校前にもあるような文具屋です。
私のお店では、書店も営んでいましたので、
子どもの頃から文房具と雑誌や書籍に囲まれて育ちました。

サラリーマンも経験しましたが、
のちに父親が創業した文房具屋を後を継ぎ営むことになりました。

▼私のプロフィールはこちら
http://www.minabe-bungu.com/hpgen/HPB/entries/232.html



■世の中にはインターネットというものが普及し始めました。
日本に登場したのは、1990年代始め頃。
その後、Windows95協奏曲が世間を騒がし、
Webサイトもたくさんでき始めます。

誰もが、インターネットに「夢」を見ました。
私のような商人の世界では、
「ホームページさえ作れば商品が売れる。」と言う
幻想が世の中を支配しました。
インターネットは魔法の杖に思えた時代です。
まさに幻想です。逆夢ですね。
正夢にはなりませんでした。

そんな経緯で、私も自分でホームページ(Webサイト)を作りました。
1997年頃の話です。

それはそれは、技術的な面で大変な苦労をしました。
当時は参考にする資料が圧倒的に不足していたからです。

ただ、一番始めに作ったホームページは
何も販売していませんでした。
つまり「ホームページを作ること自体が目的」でホームページを作ったので、
そいいう意味では目的は達成されていたことになります。



■1998年頃から、ネット通販を始めました。
当時の日本には「ショッピングモール」と呼ばれるものや、
それに似たサイトはすでに存在していました。

楽天市場の創業は1997年頃です。
ただ、アマゾンジャパンはまだ存在していない時代です。

そんな時代に、自力でホームページを作り、
通信販売を始めました。

しかしこの時点でも、通信販売を始めること自体が目的で、
何かを販売したいから始めたのではありませんでした。

相当に恥ずかしい内容ですね。何を販売しているのやら分かりません。
▼これが一番初期のHPです。
20001002.png

■その後、ランドセル「も」販売し始めました。

「ランドセルを販売しよう。」と決めた理由はいくつかあります。

一つは
「ランドセルは文具屋の扱い商品の中では高価なものだった。」
と言う理由です。

つまり、「売り上げが上がる」からです。

私は商人ですので、いい商品を世の中に提供して
お客さんに喜んでいただくことで対価をいただいています。
商品を販売することが、世の中への貢献だからです。

そういう意味で「儲けること」は非常に尊い行為だと思っています。
言うまでもなく、「詐欺まがいの商いではないこと」が前提です。

たくさん売ること、たくさん儲けることで、たくさんの人に喜んでもらう。
そして、たくさん税金を払って地域にも貢献する。

その目的を達成するために、より高額のランドセルを販売しよう思いました。


■もう一つの理由は、かなり特別です。
特殊と言っていいほどのレアなケースです。

私の街では長年「ランドセルを入学時に新入生全員に無料でプレゼントする」
と言う、全国的に見ても珍しい事業が行われていました。

お気付きの方も多いと思いますが、
無料といっても、原資は税金です。
私を含む複数の業者が仕入れ元としてその事業に参加していました。

ただ、時代の流れでその事業そのものが廃止されました。
その時に、小さな問題が発生しました。

それは、
「お兄ちゃんお姉ちゃんの時は、無料でもらえたのに、
今度は自分で買わなくちゃならないの。」
と言うことです。

ランドセルは必需品とはいえ、本来は各家庭で準備するものです。
なので、自分で購入するのは当たり前ではあります。
でも一方、「去年までタダだったのに、今年は自腹・・・。」
の気持ちも分からなくはないです。

そこで、仕入先として参加していた業者の皆さんが中心になって
「ランドセル組合」なるものを組織しました。

前述のような経緯がありますので、
「無料とはいかないが、より高品質のランドセルをより低価格で提供すること」
が、組合の目的となります。

組合員が入学前年の10月頃に各学校に出向き、注文をいただいてくる。
それを集計してランドセル工場に発注する。
工場は比較的暇な時期に、まとまった受注を受けてランドセルを製造する。
出来上がったランドセルを入学前の2月頃に、各学校に出向いて販売する。
このように、大量発注、大量生産により低価格を実現しました。

入学を控える子どもを持つ家庭の経済的負担を減らすことができるので、
非常の好評でたくさんの皆さんに喜んでいただきました。

▼各学校の入学説明会にお邪魔してランドセルの説明をしました。
その時の模様です。
ランドセル説明会



■ただ、時代は移り変わりました。
昔はランドセルといえば、男の子は黒、女の子は赤。
これらが圧倒的な定番色でした

でも、「個性」というものが強調される時代になり、
ランドセルにもその波が押し寄せました。

決定的に影響したのが、大手スーパーが「24色ランドセル」
みたいな感じの商品展開をし始めた頃からです。

私のような世代の人間には、明るい目の赤系ならまだしも
水色やピンクのランドセルなど想像もつきません。

ただ、黄色や水色のランドセルが当たり前のようにに販売され、
そして、売れていく時代になりました。

組合の活動は「大量発注による低価格の実現」が組合活動の「根幹」ですので、
このように時代が要求する多品種少量生産には対応できません。

組合としての売り上げは激減。
目に見えて減っていきました。


■商人やメーカーは、いいもの(商品)をたくさん提供することで、
世の中に貢献しています。
儲けることで、さらにいいもの(商品)を提供できる。
そういう考えで仕事をしています。

売り上げは、世の中の人からの「通信簿・成績表」だと言えます。

ただ、組合活動といえども利益が出ないと活動の意味がありません。
売り上げが減ることで、組合に参加してくれる組合員も減っていきました。

「こんな時代だから」と言う理由で、
「組合活動自体も止める」と言う選択肢もありました。

ただ、止められなかったのには理由があります。

その一番大きな理由は
「お兄ちゃんの時もお世話になったので、今回もお願いします。」
と言う、私たちを信頼してくれているお母さんたちの「期待」でした。

商人にとって「利益」は「実質的・金銭的な報酬」ですが、
一方「感謝の言葉」は、いわば「感情的な報酬」です。

「ありがとう、期待しています。」と言われると
期待に応えようとするのが人間の本能です。

そこで、「期待に応えるために、なんとかしなくては」
と言う考えが頭を巡り始めたわけです。


■安く提供するには、たくさんは販売する必要があります。
これは、メーカーさんも、仕入先の問屋さんも、小売店である私たちも同じです。
ボランティアや足長おじさんや伊達直人ではなく、
ビジネスとして取り組んでいる以上利益を出さなければならないからです。

なので、「どうすればたくさん販売できるのか」が
私たちが直面した大きな課題になりました。

そこで、いろいろな経緯はありましたが、
たどり着いたのが「インターネットを利用した販売」でした。

つまり、販売する市場を全国に広げてみようと考えたのです。

ただ、この時点では組合員はほとんどおらず、
実質、私一人で取り組むことになりました。

そして、2000年頃からランドセルのインターネットを利用した通信販売を始めました。


【 3 】ランドセルに特化し始める

■初めにも書きましたは、「HPさえ作れば売れる」と言うのは幻想です。
当時、インターネットに関する知識と通信販売に関する知識の
両方に乏しい私はかなり苦戦しました。

今なら、その理由がわかります。
その理由とは「売っているつもりで、売っていなかったから」です。

▼2001年頃のHP。かなりひどい。何屋さん?
20010124.png2001年頃のホームページ


■ほとんど売れない時期が続きました。
本当に自分でも笑ってしまうくらい売れません。

心のどこかで「素人には無理なのだろうか」と言う、
諦め気分もあったのだと思います。

下の写真も、まだまだひどい状況です。
HPのイメージもリニューアルして
なんとかしようともがいている感じはわかります。
でも、「なぜ売れないのか?」に、私自身気づいていません。

文具屋さんとしてのホームページなので、
まだ、ランドセル「も」販売している時代です。

▼2006年頃のHP
20060804.png2006年頃のホームページ



■その後、
「ランドセルを中心に販売しよう」と言う決断をしました。

それには、大きな理由があります。

それは、現在もメインで販売している
「コクヨさんの"あんふぁん"と言うブランドの非常に素晴らしいランドセルに出会ったから」
です。
本当に「良いランドセル」だったから、これ一本で行こうという決断をしました。

そして、その時に改めて当たり前のことに気付きました。
それは、
「インターネット上にはランドセルに関する情報が圧倒的に不足している」と、
言うことにです。

その時の気づきというのはつ、
お母さんたちは
「情報がないから購入することに戸惑っているのではないか。」
と言うことに気付いたんです。

もちろん、あくまで私のその時点での仮説だったのですが、
その自分の仮説に基づいてひたすら情報発信し続けました。
そして、ランドセルのみのサイトに特化していきました。

▼2007年頃のホームページ。
デザイン的にはまだまだですが、ランドセルを販売していることは一目瞭然。
20071213a.png2007年頃のホームページ



【 4 】いまのホームページの原型が出来上がる

■すごーく前置きが長くなってしまいました。

申し訳ありません。
この前の部分は読み飛ばしても問題ありません。
私が、今のようなスタイルに変化していく過程はここからです。


■ランドセルに関する情報不足が売れない原因ではないのか?

この仮説は、正しかったようです。

とにかく詳しく解説したページを作り続けました。
メーカーさんも出していないようなデーターを
自分で調べて掲載したりすることでアクセス数が飛躍的に伸びました。

アクセス数だけでなく、売上も伸びていきました。

その後も、ひたすら情報発信。
ただただ、ランドセルのことを書き続けました。
「そこまでやるか」というくらいにです。

▼今のHPの原型がこの頃に出来上がってます。ちょっとやりすぎですが・・・。
あまりに長いので縮小した画像です。
20080914a.png
20080914b.png
20080914c.png
20080914d.png
20080914e.png
20080914f.png
20080914g.png


■そして、このように大量の情報発信をしていく過程で、
「もう一つの重要なこと」に気づきました。

それは、それまでお母さんたちは
「情報不足なので購入できなかった」と言うことは、
そもそも、
「ランドセルについて分からない事があっても、
どこに聞いていいのかが分からなかったのではないか?」
と言うことです。

私は、この仮説に基づいて
「どうぞ、分からないことがあれば、ご遠慮なく聞いてください。」
と言う、態度を示しました。

やったことは
「あなたの質問を受け付けます。いつでも連絡してください。」
と言う「私自身の姿勢を示しただけ」です。

メールは、もちろんのこと、どんどん電話してください。
営業所の電話も個人の携帯電話の番号も
インターネット上に公開しました。

「このような姿勢で臨んでいる」ということを
前面に押し出しました。


■すると、この仮説も正しかったことがわかりました。
どんどん色々な質問が集まり始めました。

・私の販売しているランドセルの仕様に関する質問
・私の販売しているランドセルの機能に関する質問
・ランドセルそのものに関する質問
・他社と比較してどうなのかという質問
・どのような色が人気あるのかという質問
・他社のHPに書いていることの意味がわからないので教えて欲しい
・他社のHPの内容と、私のHPの内容に矛盾を感じる。どちらが正しいの?

中には、メールで「どんな色ですか」と聞いてくる方までいらっしゃいました。
色を文章で使えるのは非常に困難です。
それにHPに写真を掲載しても、完全に元の色を再現することは、
技術的に不可能だからです。

でも、その一方で
「困って、悩んで、迷って、購入するという行動ができないお母さんの現実」
が、手に取るように見えました。

インターネット上には、ランドセルを購入する時に決断するための情報が
とにかく不足しているのだということが改めてわかりました。

あえて、「決断」という言葉を使ったのは、
ランドセルは決して安い買い物ではなく、
しかも、6年間買い換えないことが前提だからです。

出資するお母さんにとっては、大きな決断を迫られることになります。


■一見、このような細かい質問に答えるのは面倒な気がします。
正直に言うと、実際、相当に面倒です。

電話はまだしもメールを書くのは想像以上に時間がかかります。
それは、言葉遣いや単語の選択に気をつけて正確に伝えないと、
ちょっとしたことで、真逆に解釈されてしまうことがあるからです。

ちょっとした語尾の違いで、正確に伝わらないこともあります。
熱心さが反転して、こちらに対する怒りに変わることもあります。

これほどまでに面倒なことでも、
これはこれで、商人の私にとって大きなメリットがあります。

そのメリットとは、
「お母さんの困っていることが手に取るようにわかること」
「その質問に対する答えをHPに掲載することで他のお母さんのお役に立てること」
そして、
「情報を増やすことによって、さらに検索されやすくなる」ので
「HPへのアクセスが増え認知されるようになること」
などです。


■私は、このようなサイクルで、延々と情報発信を続けました。
順調に売り上げも伸びていきました。

すると、そのうちに私の販売しているランドセルとは
「直接関係のないような質問など」が来るようになりました。

私には解決できない質問です。

・迷いに迷って決められません。私はどうしたら良いのでしょう。
・ランドセルのことが気になって夜も眠れません
・自分の子どもに愛情が感じることができません。
・私の子どもにぴったりのランドセルは、どこに売っていますか?


「そんなこと、私に聞かれても・・・。どうすることもできません。」
正直に言うとこんな感じです。

私の立場は、
「ランドセルの情報が少ないから、たくさんの情報を発信する。
その情報を見て、判断して、購入するかどうかを決めるのはお母さん、あなたですよ。」
と言うスタンスのつもりでした。

なにせ、ランドセルは毎年1000種類以上発売されていると言われています。
つまり、選択肢が多いゆえに、
「すべての子どもさんにベストなランドセル」
は、存在しないとも言えます。

子どもが違えば、「ベストな選択は違う」と言うことです。

私の扱っているあんふぁんのランドセルは、高品質で高機能です。
でも、ご家庭により事情や、学校の規則による制約もあります。
すべての人にとって最高の選択とは言い切れません。


でも、質問に対しては無視することなく、
その時点で私にできる精一杯の返信をすることを心がけていました。

ただ、当時の私は、このような「ランドセルとは直接関係のない質問の意味する
「本質的なメッセージ」を受け取れていませんでした。
上辺でしか文字を読んでいませんでした。


ただ、「これって、何なんだろう」と言う、
若干の違和感は感じていました。

私は、文具屋で単なるネット上のランドセル屋さん。
こんな私に、なぜ人生相談してどうするの?
そんな感じです。

そんなことを思いながらも、私にできることは情報を提供することです。
その後も、ただひたすらコツコツとやるだけです。


【 5 】世の中に情報が少なすぎる

■カタログ送付

いろいろな質問に答えることはもちろん、
いろいろな要望にも答えるようにしました。

まず、カタログ送付です。
現在販売している、あんふぁんランドセルの初代モデルは
2007年モデルとして、2006年9月頃に発売開始されました。

私の長年の経験と照らし合わせても非常に良いランドセルです。
でも、悲しいかな知名度がありませんでした。

まずは知ってもらう必要があります。
なので、ホームページで情報を発信し、同時にカタログを送付するサービスを始めました。
ネットではリアルタイムで情報が更新出来るメリットがありますが、
一方で人には「紙の情報」も欲しいという心理があります。

電子書籍の時代になっても、紙の本は無くならないと言われています。
だから、「紙のカタログも欲しい人がたくさんいらっしゃるはず」だと考えたからです。

これは想像通りの結果になりました。
たくさん、カタログの申込をいただきました。
当時、あんふぁんランドセルの公式サイトでさえ
「カタログ送付サービス」を行っていませんでしたので、
カタログが欲しいお母さんのほとんどすべてが
私のサイトに来てくれたようです。
(ちなみにリアルの店舗では配っているお店もあったようです。)


■生地見本を送る

そのうちに、
「カタログの色と本物のランドセルの色は同じか?」
と言う質問が大量に舞い込みました。

当然ですよね。
男の子は「黒でいい」みたいにあっさりと選択が終わりますが、
女の子は「色へのこだわり」が強い子どもさんが多いようでした。
(同時にお母さんにも。)
なので、イメージした色と実物が違った場合、
ショックを感じてしまいます。

それ以前に、カタログやHPの写真と同じという確信が持てないと、
そんな不安を持ったまま購入しようと思えません。
一か八かの勇気が必要になります。

「イメージしていた色と違う」
私は、そんな残念な思いを抱えたまま6年間過ごしていただくのは、
子どもさんにすごく申し訳ないですし、商人として不本意です。

なので、気持ち良く6年間過ごしてもらうために
「なんとかしてあげなくてはならない。」と思いました。

当時、メーカーさんでさえ、お客さんに見ていただくための
ランドセルの素材の生地見本を準備していませんでした。
そこまで思いが至っていなかったのでしょう。

そこで、メーカーさんに交渉した上で、
実際にランドセルを作っているクラリーノの生地を、
ランドセル工場から大きなサイズの状態で購入しました。

それを小さなサイズに切って、比較検討する色をセットにして
ご希望のお母さんと子どもさんに送りました。

これがまた、大好評でした。
カタログと生地見本の発送に毎日忙しい日々でした。

ただ、もちろんのことですが、カタログや生地見本を送った方の
すべての方が購入してくれる訳ではありません。
カタログ請求者の方で買っていただけるのはほんの少しです。

でも、それはそれでOKでした。

その理由は、必ずしもあんふぁんランドセルがその子どもにとってベストとは限らないからです。
これが、「ベストの選択ではない」ことを確認するためにも
あんふぁんランドセルの正確な情報が必要です。

それと、情報だけを仕入れて、買うのは近所のお店や、
ネット上のもっと安いところ。
そんな選択をする場合もあると思います。
これも、私にはどうすることもできないので、仕方のないことです。

私の気持ちとしては、あんふぁんの知名度が上がったのだからOK、
と考えるようにしていました。

初めの頃は残念な気持ちも強かったですが、
自分でコントロール出来ないことに悩むよより、
お母さんのためになることにエネルギーを使う方がいいからです。


■それにしても、お母さんたちは「ランドセル選び」に熱心です。
私はランドセルを販売する立場ですが、
よくどこれほどまでに熱心になれるものだな。
そう感じる場面にもなんども出会いました。

この時点でも、お母さんたちの発している「心のメッセージ」に
気付くことが出来ていませんでした。

この時点でも「熱心」という、言葉で一括りに考えていました。



【 6 】ある日突然、本当に大切なことに気づきました。

■私は文具屋です。
だからランドセル呼ばれるカバンを販売している。
私自身がそのように思いながら、商いを続けていました。

そして、ある日突然、本当に大切なことに気づきました。

それは
「ランドセルはカバンではなかった。」
と言う気付きです。

これを読んだみなさんは
「?」
と言う感じかもしれませんね。

「なに言ってんのこの人。」
「ランドセルってカバンでしょ。」

当然の反応だと思います。


■その「突然に気づき」というのはこんな感じでした。

ある日のことです。
1日の仕事が終わり、疲れを癒すために、足を伸ばし、
ゆったりと湯船につかり、天井を眺めていた時でした。

まさに、降ってくるように頭の中にフレーズが浮かびました。
そのフレーズとは

「ランドセルは愛情です。」


と言う短い文章です。

一生懸命に考えて絞り出したという訳ではなく、
本当に「ふっ」とリラックスした瞬間に頭に浮かびました。

「あー、そうだったのか。」

今までのすべての出来事に合点がいきました。

私は、居ても立ってもいられなくなり、
慌ててお風呂を出てお母さんに向けてもメッセージを書き始めました。

その時に書いたのが
「気の早いお母さんへ」
という文章です。
本当に一気に書き切りました。

今まで、何かしっくりこない。
理由がわからないけれど違和感がある。
お母さんたちの気持ちになっているつもりで、
全然成れていないことに気づきました。

お母さんの気持ちになったつもりで、
ランドセルに関する細かい情報を発信し続けていました。

なぜなら、私はお母さんたちが
「ランドセルを探している」と、
思い込んでいたからです。

もちろん、詳しい情報は必要です。
それはそれで「選択の基準」としては無くては成らないからです。

でも、お母さんたちが本当に探していたものは、
ランドセルではありませんでした。

お母さんたちが、探していたのは
ランドセルという名前のカバンではなく、
子どもに届けたい「愛情」だったことに、
この時に、やっと気づくことが出来ました。

ランドセルはカバンではなく、
「お母さんの愛情そのもの」だったんです。


私は、お母さんの気持ちになっているつもりですが、
実はランドセルというカバンのことしか考えていませんでした。


■この気付き以降、私の発信する情報の質が変わり始めました。
文章の行間に込められている想いが変わりました。

もちろん、ランドセルの実質的な情報は選択基準として必要です。
でも、よりお母さんのたちの、子どもの立場になって、
ランドセルを見ることができるようになりました。

そのようなメッセージが増えていきました。

私の発信するメッセージの「質」が変わると、
今までにも増して、様々な問合せや質問、お願いが届くようになりました。

そして、わかった気になっていた私に、
さらに衝撃的な出来事がありました。

商人として恥ずかしくなる思いでした。



【 7 】肩ベルトの金具

■あるお母さんから、このような内容の連絡が来ました。

「特別仕様のランドセルは作れませんか?」
というものでした。

特別仕様と言っても、それほど大掛かりな変更ではありません。
肩ベルトに、金具をつけて欲しい。
ただそれだけでした。

私の子どもの頃は、肩ベルトに金具などついていませんでした。
しかし最近のランドセルのは、必ずと言っていいほど、肩ベルトに金具が付いています。

その金具とは、防犯ブザーを吊り下げるための金具です。
当時、不幸な事件が世の中を騒がせたので、
急速に防犯ブザーが普及し始めた時代背景がありました。

その時、私の販売しているランドセルは、片方にしか金具がついていませんでした。
その金具を反対側につけた仕様のランドセルを作って欲しいとの依頼でした。

私は、初め意味がわかりませんでした。
「どういう意味だろう?」って感じです。
でも、よくよく読んでみて逆に自分が恥ずかしくなりました。

反対側につけて欲しいというのは、お母さんの愛情からくる依頼だったのです。

防犯ブザー用の金具が片方にしか付いていないランドセルは、
ほとんどの場合、左の肩ベルトに金具が付いています。

その理由は、右手で引っ張りやすいようにです。
つまり、「右利き用ランドセル」だと言えます。

防犯ブザーが必要なのは、予測できないような事態が起きた時です。
そんな、とっさの時にはきっと利き腕を使うだろう。
日本人には右利きが多い。
だから、防犯ブザー用の金具は左の肩ベルトに付いている。
という理由なんです。


■ご察しの通り、連絡をくれたお母さんの子どもさんは、
左利きだったのです。

なので、右側の肩ベルトに金具が付いたランドセルは作れないか。
そのような理由の依頼だったんです。

私はこの手紙をいただく瞬間まで、左の肩ベルトだけに金具が付いていることは認識していましたが、
その理由について考えたことはありませんでした。

そういう自分が恥ずかしくなりました。
お母さんの事を思っているつもりでも、
まだまだ、我子を想う母親の気持ちになりきれていません。


■もちろんすぐにコクヨさんに連絡を取り、
これらの事情を話した上で特別仕様ができないかを依頼しました。

しかし、帰って来た回答は「NO」でした。
たとえ金具一つでも、量産品なので特別仕様を作るのは無理との事。

でも、お母さんはあんふぁんのランドセルを気に入ってくれている。
その上で私のことを信頼してくれて、
「この人に頼めば何とかしてくれるかも。」と
ワラにもすがる思いで連絡をくれている。

しかも安全に関わることなので、私も何とかしてあげたい。

そんな思いがあったので、コクヨさんと何度かやりとりした上で、
やっとの事で問題を解決することができました。

特別仕様のランドセルを作りことはできないが、
新品のランドセルを「修理する」という形で、
もう一度ランドセル工場に送り返して、
右側の肩ベルトにも「金具を追加」する。

往復の運賃と、修理費用としての作業代金が余分に必要ですが、
金具が両方についているランドセルを作りことで、
お母さんの希望を叶えることができました。

その後、私のお店では左利きの子どもさん向けに、
肩ベルトに金具を追加することを正式なサービスとして追加しました。
毎年、1〜3人程度の申し込みがあるようになりました。

数年経った今では、あんふぁんのランドセルではすべてのモデルで
初めから両方の肩ベルトに防犯ブザー用の金具が付いている仕様に変更になりました。


母親の愛情の深さを肌で感じると同時に、
自分の思慮の浅さを思い知らされた出来事でした。



【 8 】さらに、商人失格の出来事。

私自身、「商人失格だな」と強く思わされる出来事がありました。

ある時、お母さんから手紙が届きました。
「都合のいい話で申し訳ないのですが、
先にランドセルを送っていただけないでしょうか。
それで背負ってみて気に入ったら購入するというのはダメですか。」

確かに、ご本人も仰っているように、ここだけ聞くと都合のいい話に思えます。

さらに話は進み、「先に送ってほしい理由」が書かれていました。


その理由とはこのようなものです。

・ランドセルは気に入っているが近くに販売店がない
・子どもさんに軽い身体的障害がある
・それが理由で遠くまで一緒に買いに行くことができない
・ネット通販だと試しに背負うことができないので不安
・買ったけれど体に負担が掛かる様では使うことができない

私は、この時点までこのような
「子どもと一緒にランドセルを買いに行きたいけれど行くことができない」
という人が居ることを、一度も思い浮かべたことがありませんでした。

ネット通販を利用する人というのは
・少しでも安く買いたい
・仕事が忙しくて買いに行く暇がない
・近くに欲しい商品を販売している店がない

ほとんどが、この様な人達だと勝手に思い込んでいました。

でも、「買いに行きたいけれど行けない人が居る。」
ということを、この瞬間に知りました。
考えればわかることを、考えようともしていませんでした。

よく考えると、
・家族に介護の必要な人が居るので長い時間、家を空けられない
・小さな兄弟がいるので、何人のも子どもと一緒に出かけられない
など、自由に買い物に出かけられない人が「居そうだ」というのがわかります。
でも、この瞬間まで想定していませんでした。

私は本当に「商人失格だ」と思いました。
お母さんのためって言っている自分が情けなかったのを覚えています。


■この時、連絡いただいたお母さんには、
色を決めるなどの何度かのやり取りの上
先にランドセルを送らせていただきました。

そして無事に買っていただくことができました。

お母さんも子どもさんも、そして私に取ってもとても良いお取引でした。
そして、私のとってとても商人として意義ある出来事でした。

この出来事の後、私のお店では事前に相談いただければ
先にランドセルを送らせていただく。
つまり、後払いOKのサービスを追加しました。

一般的には後払いには「払ってくれないかもしれない。」
という商人側のリスクが伴います。

でも、言うまでもなくランドセルを購入しようとしているお母さんに、
その様な悪人がいるはずもありません。

何度も後払いのシステムをご利用していただいていますが、
すべて無事にお支払いただいています。



【 9 】すべてお母さんに教えていただいた

■ここまで書いた様な経緯をたどり、
今の私のホームページが出来上がりました。

ただ、私が何かすごいことを考えた訳でも
発明した訳でもありません。

私のやっていることは、お客様がすべて教えてくれたことです。
要望に応えて、すぐにホームページに反映させる。

それを、ただコツコツとやり続けただけです。
大切なことは、すべてお母さんに教えていただきました。

心の底からそう思えます。

「お客様は正しい」

これは、お客様の言うことは何でも聞く。
その様な意味ではありません。

「お客様が見えている世界が、お客様にとっての現実である。」

という意味です。

商人の目から見て明らかに間違っていても、
お客様にとっての現実がある。
その理想の現実を、どの様に実現できるのかが商人の役割です。

肩ベルトの金具は
「左についているのが当たり前」
と、商人の立場で行ってしまうと、その時点で終わりです。

お客さんの現実を見ないまま、
「売れないなー。」と
言っているだけになってしまいます。


■こんなこともありました。

今時は、ランドセルをスマホで注文してくれるお母さんもたくさんいらっしゃいます。
スマホで注文、決済はクレジットカード。
そんな時代です。

でも、そんなお母さんでも
「大安に着く様に送って欲しい。」
という要望がありました。

私の素直な感想は
「今時の若いお母さんでも大安とか気にするんだ。」
というものでした。

この出来事以降、到着日を確認する時「直近の大安」の日を提案すると、
70%くらいのお母さんが、大安の日を選ばれます。

この辺りのギャップも、お母さんに聞いてみないとわかりません。
非常に貴重な体験です。


■実は、この屋号もお母さんが名付けてくれたんです。

あるお母さんから、ランドセルを買っていただいた後に感想の手紙を頂きました。
その中に
「まさに、日本一情熱のあるランドセル屋さんですね。」
という一文があったんです。

私は、はじめ自分でも気に入ってはいましたが、
「日本一」を名乗ることを躊躇していました。
世間から何を言われるかわからないという、恐怖感があったからです。

ただ、ビジネスの先輩から「それ、いいね!」「出したほうがいいいよ。」
とアドバイスを頂き、思い切って屋号にしました。

結果的には、恐れていた様なことは何も起こりません。
逆に、お母さんたちに、より印象深く関心を持ってもらえる様になりました。



【 10 】トラウマ

■みなさんは「ランドセル」と「トラウマ」と聞いて
その関係が頭の中で結びつくでしょうか?

ほとんどの方は「なんのこっちゃ?」という感じではないですか?

実は、ランドセルに対して「トラウマ」の様なものを持っている方がいらっしゃいます。


■ある時、とにかく背負った時に「肩が痛くないか」を気にされるお母さんからの質問がありました。

そのお母さんは子どもの時にご両親から買っていただいたランドセル。
その大切なランドセルが、背負うと肩が痛かったのだそうです。

でも、せっかく買ってくれたランドセルです。
肩が痛いとは言えないまま、我慢して背負い続けたそうです。

小学校を卒業する時、
「これでランドセルを背負わなくて済む。」
そう思ったそうです。

それ以降、ランドセルのことなんか見たくも、考えたくもなかったそうなのです。

ただ、ご自身が母親になり、自分の子どものために、
再びランドセルと向き合わなくてはならなくなりました。

その時「私と同じ想いは、自分の子どもにだけはさせたくない」
という想いが強く、肩が痛くないか異常なほどに気にされていたのです。

この様な事例も聞かないとわかりません。



【 11 】魂を揺さぶられる思い

■情報発信することで、徐々に私の店舗への信頼感は増していきました。

そんな中で
「この人なら私のこの想いを聞いてくれるかも。」
と思ってもらえる様になりました。

その過程で、私の様な存在が必要である。
と思って商いを続けています。

ここでいう「私の様な存在」というのは、
私が今やっている様な、面倒臭いランドセルの販売方法です。

インターネットですから、大手のモールに出品して、
少しでも安く販売すれば売り上げが上がることだと思います。

しかし、必ずしも「価格」がランドセル選びの第一条件ではないお母さんがいらっしゃいます。

その理由は、
ランドセルは「一生に一回の大切な買い物」

だからです。

だから時間をかけて、納得するまでじっくり選び、
そして高くてもいいから気持ち良く思い出に残る買い物がしたい。

そんなお客さんもいらっしゃいます。

「この気持ちを理解してくれている販売者から買いたい」
と思っているお母さんもいらっしゃいます。


■私は時間がかかり面倒臭いけれど、
お母さんたちとコミュニケーションをとりながら
一生に一回の思い出に残る買い物のお手伝いがしたい。
喜んでもらいたい。

そして、喜んでもらった子どもさんやお母さんの笑顔を見て
私自身が幸せを感じたい。

そう心から思っています。


だから、私の様な存在が必要である。
そんな思いに確信を得る出来事がありました。

最後に母さんから頂いたお手紙を紹介します。
この文章を読んで私も涙が出ましたり、
私は必要とされている存在なのだと確信を得ました。

2009kanso-001.jpgあんふぁんランドセル専門店【日本一情熱のあるランドセル屋さん】



【 12 】おわりに

■私は商人です。

人生の中でいろいろな業種を体験しました。
少し器用なところがあるので、何をやってもそれなりに出来る所もあります。

でも今は「商人として生きる」と決めています。

ちゃんとお客さんと向き合って、
商いをしていこうと思っています。


はじめこのサイトに音連れた方は、
「なんだろう?このお店。」と思う様です。

なぜ、お店の名前が
「日本一情熱のあるランドセル屋さん」
なんて妙に長いのか?

ちょっと怪しいよね。
この店長は変な人なのかな?

そんな風に思ったかもしれません。

でも、私がなぜこんなことをしているのか。
それが少しでも伝われば嬉しいです。

繰り返しますが、世の中には私の様な存在を
必要としているお母さんがいらっしゃいます。

なので、私のエネルギーが続く限り
このスタンスでランドセルを販売していきたいと思っています。


長い文章を最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも、よろしくお願いします。

感謝を込めて。


「日本一情熱のあるランドセル屋さん」
店長 小池弘起


ページトップへ